五世 清元延寿太夫名演集

近世邦楽界を代表する名人、五世 清元延寿太夫。戦前に収録された貴重なSP録音の完全復刻。監修：竹内道敬

ビクター専属として一世を風靡した清元志寿太夫の師匠にあたる五世 清元延寿太夫の名人芸。空襲から奇跡的に残ったビクターに現存する貴重な音源を全て復刻。昭和59年発売のLP5枚組『五世 清元延寿太夫名演集』では、レコードの収録時間の制約から割愛された「文屋」も収録。五世延寿太夫が録音したSPレコード音源が完全に揃いました。
［おことわり］ 古いSPレコードからの復刻のため、音源に起因するノイズ音が含まれております。予めご了承ください。

五世 清元延寿太夫　プロフィール
文久3年（1862年）8月13日に植木職人の子として生まれる。本名は斎藤庄吉。三井物産に勤めながら、15歳で清元菊寿太夫に入門して清元を習い始める。明治23年29歳で四代目延寿太夫（1832～1904）と清元お葉（1840～1901）の養子となり、明治27年9月正式に五世延寿太夫を襲名。当時の名人、常磐津林中の芸を目標のひとつとして修業に励み、明解な語り口による清元の品格を打ち立て、大正時代に入るとその名声は動かしがたいものとなる。清元では歌舞伎出演を伝道といっていたが、多くの名優との共演を重ね、それが清元の支持層拡大へとつながった。昭和12年2月東京劇場で「明烏」上演時に倒れ、以後一度だけ（昭和15年12月）を例外として、再び舞台に立つことはなかった。昭和18年（1943年）5月20日没。享年82歳。

［収録曲］
Disc 1
1　北州－北州千年寿－（ほくしゅうせんねんのことぶき）
大田蜀山人（号南畝）作詞／川口お直作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：四世 清元栄寿太夫　上調子：清元正寿郎
[初発売] 昭和8年1月

2　青海波－青海波－（せいがいは）
永井素岳作詞／二世 清元梅吉作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫、清元志寿太夫、清元寿美太夫　三味線：清元菊輔
[初発売] 昭和10年12月

Disc 2
1　隅田川－隅田川－（すみだがわ）
条野採菊作詞／二世 清元梅吉作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫、四世 清元栄寿太夫、清元志寿太夫、清元寿美太夫　三味線：清元栄次郎、清元市之助、清元正寿郎
[初発売] 昭和5年8月

2　文屋－六歌仙の内 文屋の康秀－（ぶんや　ろっかせんのうち　ぶんやのやすひで
松本幸二作詞／初代 清元栄次郎作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：清元正寿郎
[初発売] 昭和11年9月

Disc 3
1　明烏－明烏花濡衣－（あけがらすはなのれぎぬ）
二世 桜田治助作詞／清元太兵衛（＝二世 清元延寿太夫）作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：四世 清元栄寿太夫
[初発売] 昭和9年12月

2　三千歳－忍逢春雪解－（みちとせ　しのびあうはるのゆきどけ）
河竹黙阿弥作詞／清元お葉（＝四世 延寿太夫の妻）作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：四世 清元栄寿太夫
[初発売] 昭和6年12月

Disc 4
1　権上－其小唄夢廓（ごんじょう　そのこうたゆめもよしわら）
福森久助（喜宇助）作詞／お悦（初世 清元延寿太夫の妻、一説に清沢万吉）作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：四世 清元栄寿太夫
[初発売] 昭和6年7月

2　山姥－月花茲友鳥（やまんば　つきとはなここにともどり）
二世 桜田治助作詞／初世 清元斎兵衛作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫、清元志寿太夫、清元寿美太夫　三味線：清元菊輔
[初発売] 昭和11年4月

Disc 5
1　神田祭－〆能色相図－（かんだまつり　しめろやれいろのかけごえ）
三升屋二三治作詞／二世 清元斎兵衛作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：四世 清元栄寿太夫　上調子：清元正寿郎
[初発売] 昭和8年6月

2　保名－深山桜及兼樹振（やすな　みやまのはなとどかぬえだぶり）
篠田金治作詞／清沢万吉（＝初世 清元斎兵衛）作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：清元栄次郎　鳴物：望月太左衛門社中
[初発売] 昭和6年1月

Disc 6
1　お染－道行浮塒鴎－（おそめ　みちゆきうきねのともどり
勝井源八（＝四世 鶴屋南北）作詞／初世 清元斎兵衛作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：四世 清元栄寿太夫
[初発売] 昭和7年4月

2　三社祭－弥生の花浅草祭－さんじゃまつり（やよいのはなあさくさまつり）
二世 瀬川如皐作詞／初世 清元斎兵衛作曲
浄瑠璃：五世 清元延寿太夫　三味線：四世 清元栄寿太夫　上調子：清元正寿郎
[初発売] 昭和7年7月